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星瞬きし空の下で 第四話 Bパート [星瞬きし空の下で]

 四人が屋上へとたどり着くと、異形たちはすでに屋上を埋め尽くさんばかりに出現しており、中には結構な大物もいるようだった。四人は隠し場所から持ってきた、日本刀を抜いて異形たちと相対する。
「桜、とりあえず結界を」
「うん」
 桜はすぐに結界を展開する、これは外から結界内が見えないようにするためのもので、余程の緊急事態でない限り使用が義務付けられているものだ。別に椿も梓も使えないわけではないが、三人で行動するときの結界や符術といったサポートは、桜の担当というのが暗黙の了解だった。
「椿、いつもどおり大物は任せるわよ」
 それだけ言うと、梓はさっさと切り込んでいく。梓が使う三奈薙流は、速さ重視で対多数の戦闘を得意とする、切り込み隊長。椿の芳川流は、一撃の重みを重視し一対一での闘いを得意とするため、大物担当というわけだ。
「おい待てよ、梓!!」
 まだなにか、戦闘での立ち位置を決めかねている誠也も、梓を追いかけて斬りかかっていく。少し心配だった誠也の腕だが、隆之に手ほどきを受けたこともあって、この程度の相手なら問題なさそうだった。
「桜、私も行くから。誠也さんのサポートを」
「まかせて」
 そういうと椿も前へ出る。流石に気心知れたもので、タイミングを合わせて梓が大技を放って、椿のために道を作る。一直線に椿は大物に仕掛ける。それは亀のような姿をしており、四人には背を向けて襲い掛かると言うよりはなにか別の目的があるように見えた。
「これで!!」
 符術と組み合わせて刀に炎をまとわせ斬りつける。威力重視と言うだけあって、硬い甲羅にも大きくひびを入れる。柔らかい内側を狙って仕掛けようとしたが、いつの間にやら梓が後から
「お膳立てどうも~」
 椿の横手をさっと駆け抜けると、ひびに刀をつきたてそこを通じて霊力を叩き込む。威力で劣る三奈薙の切り札とも言える技である。柔らかい内側に叩き込んだこともあって、亀の後半身が吹き飛び崩れ落ちる。二人の連携であっさりと勝敗は決し、四人は残りの雑魚の掃討にうつった。
 ……。
 戦闘でぼろぼろになった屋上を専用の呪符で元に戻し、結界も解除する。あとは、何事もなかったように振舞うのみだが、先ほどの様子では相手は手ごわそうだった。


 つづく。
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