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星瞬きし宇宙の海で 第一話 Cパート [星瞬きし宇宙の海で]

日本船団は、銀河中心方向約200光年ほどの位置にある星系を目標に転移。さらに諸々を含めて出港から50年ほどで、テラフォーミングの完了した第3、第4惑星への入植が開始され、この新天地は旧国名から大和星系と呼称されることとなった。

テラフォーミングと並行して進められた星系内の調査中、太陽系と同じく第4惑星と第5惑星の間に存在するアステロイドベルトにおいて、漂流する人工物が発見された。調査解析の結果、地球外知的生命体による探査船の類で、船内に残された記録によれば、この星系へ調査に派遣されたものの転移航法の出現地点誤差により、転移直後に小惑星と衝突して遭難、その後救助されたようである。

その後、LS1(ロストシップワン)と名付けられたそれは回収されて徹底的な解析が行われ、真空からエネルギーを取り出す相転移炉、重力制御システム、さらに目標座標上に存在する粒子(後に、particle of advocated by extraterrestrial civilization :地球外文明によって提唱された粒子を縮めてアデック粒子と呼称)を利用することで大幅に省エネ化、相転移炉と合わせて転移航法システムのダウンサイジングなど、大きな技術革新をもたらした。そうして、新たな技術を取り込みこの新天地が順調に発展を遂げていた頃、星系外縁部に設置されたレーダーが突如として出現した巨大人工物を捉えた。

そのような事態は想定されてはいた。人が減っていけば、国連による転移座標の管理が杜撰になるのは目に見えていたし、なにより先行するものにとってはまだ資源なども残っているから問題ないが、遅れるものたちはどんどん不利になっていく。そう言った事情が重なっていけば、後発組が先行組から奪い取りたいと考えても不思議はないからである。しかし、予見出来ていたからと言って全力で軍備を行える余裕があったわけではなく、対抗するには戦力不足が否めない状況であったため、暫定作戦司令部はLS1系の技術を導入した、実験中の艦艇や人型機動兵器を決戦に投入することを決定した。

大和星系外縁部で行われた艦隊決戦は、一方的な展開となった。レーザーなどの光学兵器、プラズマキャノンなどのエネルギー兵器の一切を完全に無力化し、大砲・ミサイル等の物理攻撃に対しても直撃を防止する空間歪曲場フィールドによって地球艦隊の攻撃はほぼ通用せず、重力波砲という発射の兆候察知も地球側には不可能な兵器によって艦隊は蹂躙され、機動部隊も空戦から脱却できていない地球側の航宙戦闘機は、機動の自由度の違いによって人型機動兵器には対抗できなかった。こうして、後に革新戦役と呼ばれることになる戦いは、大和星系側の勝利で幕を閉じ、再度の侵攻に備えて第1から第7までの宇宙軍各艦隊が整備されていくことになった。

しかし勝利とはいえ、こういう事態が発生したと言う事実は、後に大きな確執を生むことになる。


 つづく。
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