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星瞬きし宇宙の海で 第一話 Iパート [星瞬きし宇宙の海で]

 突然叫んで立ちあがった俺と壇上の美咲とを、この場にいるすべての人間が交互に見比べている。なんらおかしくない当然の反応だが、流石にいたたまれなくなって俺はすごすごと着席した。それを見た美咲は。
「えー、ちょっとしたアクシデントはありましたが、みなさんようこそ第7艦隊へ。私は、第7艦隊副司令兼本艦夕霧副長の霧原美咲です。隠しても仕方ないので言ってしまいますが、機動兵器隊の霧原誠也は兄です。どうぞよろしく」
 なんでここにという俺の問いに対する答えも含むそれは、予測の範疇を大きく超えていて、当然のごとく理解が追い付かない。そんな俺を美咲は一瞥すると、さらに続けた。
「ここに来るまで、人に会わなかったはずなので察しはついているかとは思いますが、この艦には私と彼女、雪原琴希ともう一人しか乗っていません。ぶっつけ本番となりますがみなさんに運用してもらいます」
 あちこちから、驚きの声が上がる。まぁ当たり前の話だ。尤も、向こうもそれは当然予測済みなのだろう、意に介していない様子で今度は美咲が紹介した彼女が口を開く。
「言いたいことはあると思いますが、本艦は第7艦隊が独自に建造した新型艦であり、そのテストはこの艦について知らない人間にやってもらう必要があるための今回の措置です」
 そう言われれば分らないではないが……。
「本来なら、大気圏内での運用テストを数日行った後、第7艦隊司令部へテストしながら帰還する予定でしたが、出港後ただちに大気圏を離脱し帰還せよとの命令が下りました。不測の事態が発生する可能性があるため、この後は総員第一種戦闘配置で待機してください、以上解散!!」
「配置については、各自の端末にデータを転送してあります。確認して、ただちに配置についてください」
 各部署、端末を突き合わせて各自確認を済ませると、ぞろぞろとブリーフィングルームを後にしていく。俺もそうしなければならないが、その前にどうしても、美咲に聞かなければならないことがあった。


 つづく。
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