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星瞬きし宇宙の海で 第一話 Jパート [星瞬きし宇宙の海で]

「おい、美咲!!」
 琴希と連れ立って出て行こうとする美咲に呼び掛けると、美咲は振り返った。
「なんでここにいるんだよ」
「霧原少尉、早く配置についてください」
「家族のことなんだぞ、なにも聞かないうちに、そんなことできるか!!」
 そうまくしたてる俺に、美咲は大きくため息をつく。だが。
「なんでいるのかって言われたら、時桐和葉第7艦隊司令にね、頼まれたんだ。力を貸してくれってね」
「な、なんでそんなことお前に……?」
「それはまだ言えない。帰り着いたら教えてくれるよ、和葉がね」
 それだけ言うと、美咲は今度こそ立ち止まらずに出て行く。それをただ見つめる俺の視線を、桜が遮った。
「誠也、私も気になるけど、今は行かないと。大丈夫だよ、今だってちゃんと答えてくれたんだから、言った通りの時になったら全部教えてくれるよ」
「……分かってる」

「副司令、あれでよかったんですか?」
「ああするしかないよ、言っちゃったらテストにならないんだし」
「まぁそれはそうですけど……」
 何かあるかもしれないと、すぐに宇宙へ上がろうとしている今、クルーの、それも機動兵器隊の人間が疑問を感じていることが、琴希は流石に心配なようだ。
「大丈夫、桜お姉ちゃんがちゃんとフォローしてくれるはずだから」


 つづく。
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