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星瞬きし宇宙の海で 第一話 Rパート [星瞬きし宇宙の海で]

「4艦隊の動きは」
「改朱雀型数隻が隊列を離れて月読へのコースを取っていますが、それ以外は射撃位置に待機したままです」
 冷泉型の前型である朱雀型戦艦、それを格納庫の大型化などで機動兵器の運用能力を強化した改朱雀が向かっていると言うことは、月読を制圧して第一撃で被害を受けなかった戦力を接収するつもりであるのは間違いないはずだが、それにしても少々動きが鈍いように初音には思えた。しかし、何か意図があるとしても、まず先行する改朱雀型部隊を止めなければならない。行動に選択肢はなかった。
「先行部隊を止めます、主砲自動照準、一斉射撃用意」
「了解、自動照準」
 アリスの復唱と同時に、眼下の主砲塔群がゆっくりと旋回し仰角を合わせる。
「射撃準備完了」
「一斉射撃!! てー!!」

「月読の動きはどうなっている」
 4艦隊の月読攻撃任務部隊司令・竹下洋は、小さくなっていく先行部隊を見つめながら、さっきから神経質にそう繰り返し聞いていた。
「今のところは動きはありません」
 もちろん、被害を受けなかった艦が出てきたとしてもこちらは第二撃の準備を整えている、撃てばいいだけの話ではあるのだが、だからと言って安心はできないし、またしてしまうのもよくはない。なんにせよ、打開できないまま時間は過ぎていく。
「到達まで、あと600秒」
 それを聞いて、終わりが少し見えてきた、そう思った時だった。
「高重力子反応!! 重力波砲、来ます!!」
 一瞬身構えるが、夕霧から放たれた光条は遠く艦前方を通り過ぎて、先行部隊の先頭艦に襲い掛かった。幸い、歪曲場フィールドは張っていたため撃沈は免れたが、これで予定通りの作戦遂行は難しくなった。
「どこからだ!?」
「艦下方、大気圏表層からです!!」


 つづく。
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