SSブログ

星瞬きし宇宙の海で 第二話 Hパート [星瞬きし宇宙の海で]

「4艦隊、跳躍しました」
 それを聞いて、ブリッジにいる全員がホッと胸をなでおろして、自らのシートに深く身を沈めた。
「引き続き警戒を厳に」
「了解」
 何もなくてもそうすべきことだが、それはそれとして、この引き際には引っかかるものがある。確かに、夕霧の介入によって当初目的を果たせる見込みがなくなったのは事実だろうが、それにしても早く思える。その理由に思いを巡らせるが、それを遮る通信が入った。
「第2艦隊司令部より通信、繋ぎます」
 そこから来るのは当然の流れだが、それを忘れかけていた。あわてて居住まいを正してモニターへ向かうと、第2艦隊司令、片山京一郎自らの登場だった。
「貴艦の援護に感謝する」
「夕霧艦長、大塚初音です。引き続き、周囲の警戒に当たります」
 今のところなにもなく、撤退がブラフだったと言うようなことはなさそうだが、第2艦隊が出られるまではまだ安心はできない。しばらくはこのままと思っていたのだが。
「いや、大塚艦長、貴艦にはただちに第7艦隊司令部へ帰還してもらいたい」
 返ってきた答えは意外なものだった。初音はどういうことか問いただそうとするが、美咲がそれを遮った。
「第7艦隊副司令、霧原美咲です。事情をお聞かせ願えますか」
「本来なら、すべて整ってから4艦隊以外の総力を挙げて対処にあたるべきなのだろうが、先制攻撃を受けたことで、4艦隊が主力を分散していることが分かった。そこでこの機に動ける3艦隊が対処にあたると言ってきた。現状、他で動けるのは7艦隊だけだ。ここは一刻も早く戻って、3艦隊のバックアップに回ってもらいたい」
 なるほど事情は分かったが、遺恨がある3艦隊が対処にあたると言うのは、少々危険に思える。これは従った方がいいと感じた。美咲も頷くのを見て。
「了解しました。これより、帰還します」
「任せたぞ」
 そう言うと、通信は切れた。
「機動兵器隊の回収急がせて、跳躍準備に入ります」


 つづく。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。