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星瞬きし空の下で 第二話 Dパート [星瞬きし空の下で]

「ねえ、誠也くんを呼び出してどうするつもり?」
 奏は、誠也との約束の場所へと向かう用意をする隆之に話しかける。
「出来ることはやっておきたい」
「そうね、誠也くんの実力は見ておきたいか。力不足なら特訓しなきゃだし」
 隆之はうなずく。
「で、そのためには一度手合わせしてみるのが一番ってこと?」
「そういうことだ」
 確かに時間もないことだから、それが手っ取り早いだろう。ただ一つ隆之に言うことがあるとすれば。
「私も一緒に、……かまわないよね」
 自分も共に手合わせしてみること、それだけ。
「心配なのは同じだもの」
「そうだな」
 そして、二人は同じ思いを胸に、刀と呪符をとった。

「この辺で待ってりゃいいのか」
 桜に場所を確かめてきたから、大体あっているはずなので、誠也はそこで木に寄りかかって待つことにする。隆之が考えているであろうことに多少の察しはつくのだが、正直なところ名前すら思い出せない状況では体が覚えてくれていることに期待するしかない。あまり覚えていないが、倒れる直前桜の前に現れたときには、それなりに闘えていたらしいので大丈夫だとは思うのだが。などと考えていると、背後からの殺気を感じとっさに飛びのいた次の瞬間、ついさっきまで寄りかかっていた木がばっさりと斬られ、その奥から隆之が姿を現した。
「何するんですか、いきなり」
 分かってはいても、そう訊いてしまう。温厚な隆之のことである、流石に初手からこう出るとは思っていなかった。
「分かってて訊いているんでしょう」
 背後から聞こえた奏の声とともに、今立っている地面の下から木々が伸び、誠也を捕らえようとする。ぎりぎりのところでなんとか避けて着地し、動きの止まった木のなるべくまっすぐな枝を折って、背後から呪符をかざして現れた奏の方へ、それを構えて答える。
「まあ、大体は」
「なら、いいじゃない。あなたの実力を私たちは見せてもらいたいの、そのためには、この方法が一番じゃない?」
 ここにいるということは、これから先命の危険もある闘いに身を投じていくということでもある。最低限、桜たち3人の足手まといにならない力は必要なのだから、無様に負けるわけにはいかなかった。ここにおいてもらう以上、できることは桜たちを手助けしていきたかったから。
「わかりました、全力でいきます!!」
 力強くそう答えて駆け出した。


 つづく。
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