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星瞬きし空の下で 第四話 Dパート [星瞬きし空の下で]

 結局、茜は何も言ってこないまま週末を向かえていた。桜たち四人には『霊的な現象が発生しそれが危険だと判断した際には、退避命令などの必要な措置を発令することが出来る』そういう権限が与えられており、『特記事項』として明記されている。そのことは流石に茜も確認しているはずだ。それを見てどうするかは自身の判断だろうから、このまま黙るかもしれないしそうでないかもしれない。しかし、何もない展開はあまり考えられない気はしている。
「それじゃ、最後に実戦形式でやろうか」
 まぁ、どちらにしろこちらから藪蛇をつつくわけにもいかないので、こうして誠也の特訓をしていると言うわけだ。剣のほうは、隆之に手ほどきを受けたこともあってわりと様になっている。とはいえ、失くした過去にやっていたであろうからというのも、多分にあるわけではあるが。そんなわけで今日は、符術のほうを重点的にやっているのである。まぁ、この分野では梓と椿も桜に遠く及ばないので、一緒に特訓を受ける側なのがなんとも言えないが。
「私に符術だけで触れられたら合格。三人まとめてかかってきていいけど、結果はひとりひとりね」
「あんたの結界、破れる気がしないんだけど」
 梓が使う三奈薙流は、対多数を想定した霊力を直接放出して広域殲滅が可能な技が多く、符術に頼る場面が少ないので実は相当苦手としているのだ。そんな事情でげんなりして言う梓に、苦笑いしながら桜は言う。
「単純な防御結界は使わないようにするよ。符術を使った防御は教えときたいから使うけど」
「まぁそれなら何とかなるか」
 誠也と梓はあからさまだが、椿のほうも表情を見るとほっとしたようだ。そんな三人の希望を打ち砕くように桜は続けた。
「あ、こっちからも攻撃はするから仕掛ける前にやられないようにね?」
「分かってるわよ!!」
 梓はそう答えるが、彼女の速さをもってしても避け続けるのは容易ではない。
「では、始めましょうか」
 椿の言葉で、桜以外の三人は散る。それを見届けて、一度深呼吸をすると桜も手近な樹へと跳ぶ。そして
「いくよ!!」
 呪符を構えた。


 つづく。
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