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二次創作SS ヨーコ(6) [二次創作SS]

>YOHKO
「一発かますわよ!! エヴァブラック発射ぁ!!」
 なんと言ってもこういうのは、出会いがしらが重要なのよ、今回は分断もしなくちゃいけないしね。数ミリセコンドのラグを挟んで、セイル上のエヴァブラックからプラズマスフィアが吐き出され、一直線にリヴァードールチームへと飛んでいく。流石に、この距離で当たってくれるほどザコだと思っちゃいないけど、リヴァードールチームは狙い通り散開してくれた。
「ヴェイパーシールド展開!! 御堂少尉、吶喊します!!」
「アンカースタンバイ、参ります!!」
「全機発進、いったれやースティクス!!」
 みんなも心得たもので、何も言わなくても察してそれぞれ自分の相手に向かっていく。こういうあたり、阿吽の呼吸ってやつよね。
「アソビン教授、距離を詰めるわよ!!」
「了解」
 あたしもRD-09の方へと向かう。艦に奇抜な所がなさそうなのは残念だけど、その分性能差に絶望することはなさそうだ。流石のあたしだって、ウェンディの代役で乗ったBT-91で、TA-29に乗ったフーリガーとやりあえって言われるのは勘弁して欲しいしね。……やるけど。
「なんにせよ、あたしを唸らせる腕であって欲しいわね」
 アソビン教授は何も答えない。……最近、ちょっとは人間味が出てきたから、もしかしたら呆れてたりして。
「エヴァブラック再充填完了、主インパルス砲1番から4番スタンバイ完了、RD-09有効射程圏内です」
 そうこうしている間に、アタシの方は攻撃の準備が整う。まどかたちそれぞれとの距離も十分だろう、一気にスティックを返して、突っ込んでいく。
「OK、誰にケンカ売ったか教えてあげるわ!!」

>SYSOP
「抜かないのですか?」
 お互いに重力アンカーをだして、がっぷりと組み合う。翼と幾度かはこういう形で戦ったこともあるが、それは二人が徒手空拳を旨とする格闘家であるから。剣術戦艦を操る剣客が抜かないというのは、どう考えても不自然だった。
「今はね。お披露目だし」
「……余裕ですね」
「まぁ、私も派手好みのところあるし、アイツが自慢したいのはわかるから」
 梓が言っているのはおそらく、RD-0シリーズのデザイナーのことだろう。ということは、梓の剣はそりゃーもう画期的なのだろうが、同時に綾乃はローソンの同類なのだろうなと思った。
「それに、きっかけを待ってただけだしね?」
 次の瞬間、梓は組合を切り逆噴射をかけて距離を取ろうとした。予想外のことに、綾乃は一瞬反応が遅れ二隻の距離が離れかける。
「お師匠様、インパルス砲を!!」
 RD-07に装備されている剣と思しきアンカーは、船体中央部に四基“重力アンカーとは別に”搭載されている。だから綾乃は組み合ったままで剣を抜いてくると読んでいたため、虚を突かれてしまった形だ。せめて牽制にとインパルス砲を撃ちこんだそのとき。
「ソードアンカー1番射出!!」
 右舷上部のアンカーが正面へ向けて射出される。巨大な先端部をもつそれが、TA-27の放ったプラズマスフィアと交差する。
「えっ!?」
 RD-07へ向けて飛んでいたプラズマスフィアが、突然、逆にTA-27の方へ向かってきたのである。

「どうなってるの、ローソン!?」
 エスタナトレーヒのブリッジでリオン提督が叫ぶ。インパルス砲は断じて誘導弾ではない、一度発射されたらまっすぐ飛ぶだけのはずである。
「待ってください!!」
 ローソンは思い当たる節がないわけではないようだ、あわてて別の観測装置からのデータを呼び出して、検討を始める。その様子を、ブリッジ要員全員が固唾をのんで見守る。ほどなく結論が出た様子のローソンは、向き直って話し始めた。
「これは……」

「……磁場?」
 今の現象が不可思議なのは、RD-0シリーズの開発者、ライル・ランカスターのいるパドック艦・リヴァードールでも同じようで、指揮官である時桐和葉にランカスター本人が説明していた。
「そうです、時桐提督。プラズマには磁場から抜け出しにくいという性質があります。ですからアンカーの周囲に磁場を展開してプラズマを固定、剣として使うのがRD-07のソードアンカーと。さらに、磁場の展開範囲を広げれば、今のように盾として使うこともできるわけなんです!!」
「ランカスター、気持ちはわかるけど落ち着いてね?」
「すみません。いや、ついうれしくて」
 興奮冷めやらぬ様子のランカスターも、和葉の言葉で表面上は落ち着いて見せる。しかし、瞳は相変わらず輝いたまま、RD-0シリーズが戦う姿の映るコンソールを見つめていた。
「はぁ、他の装備もお披露目の度にこうなのかな……」

「それじゃ、RD-07にインパルス砲は効かないということ?」
「同じものが四基もありますし、綾乃くんの話だとプレイヤーも剣客? として優秀みたいですから望み薄ですかねえ。インパルス砲以外の手段でアンカーを破壊できれば別ですが……」
 至極当然の話ではあるのだが、射程と火力を兼ね備えた兵装というと、インパルス砲しかないのが実情である。仮にあったとしても、RD-07と戦うことはこれが最初で最後なわけで、今積んでいないのなら意味がない。
「一基だけなら、重力アンカーで押さえ込んで次元転換魚雷で済むが……、そうは問屋がおろさんか」
 物静かな副官、マーチン・クライフが口を開く。実際、生身なら綾乃も認める腕というあたりが一番のネックだった。
「まぁ、もともとインパルス砲に頼らない制圧能力がTA-27のコンセプトです。綾乃くんを信じるしかないでしょう」
「そうね……」

「そういうことなら、こちらが撃たなければ済む話です」
 今度は、仕掛けるべく綾乃はRD-07へ突っ込むが、梓は引いて有利な間合を保つ。
「プラズマ励起開始、フィールド収束、プラズマソード形成!!」
 ソードアンカーの先端部分が解放され、インパルス砲の発振部が露出するとプラズマが放出され、光の剣が形成される。その姿は剣術戦艦を名乗るのにふさわしいものだった。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 今度は、梓がTA-27へと斬りかかる。梓の剣は、スピード重視の三奈薙流という流派らしいが、RD-07もそれを活かしきれる瞬発力をもっている。鋭い斬撃と艦自体の身のこなしに、インパルス砲という牽制手段を失った綾乃は組み切れない。
「くっ」
 このまま、押し続けられるようなことになると、どうしても間合の差で不利は続く。自身の間合に持ち込むには、TA-27のカタログスペック以上のスピードで飛び込むしかない。
「お師匠様、推力に使える位置の爆発ペレットをすべて使って飛び込みます、それから左舷前方2番と4番アンカーを回収、指示するタイミングで再射出後出力を全開でお願いします」
「了解」
 サポートAIのお師匠様に指示を出すと、回避に専念しつつタイミングを待つ。狙うのは梓の突き。強烈な飛込みを伴うそれは必殺の一撃ではあるのだが、その分隙が大きい。さらに、両者が交差することで相対速度を飛躍的にあげることができる。そして、程なくそのタイミングはやってきた。
「これでっ!!」
 RD-07に一瞬遅れてソードアンカーが繰り出される。太刀筋を見切られにくくするフェイントだが、その程度に引っかかる綾乃でもない。瞬時にスティックを操作して紙一重の軌道で飛び込む。
「今です!!」
 綾乃の指示で後方に存在する爆発ペレットのすべてが一気に炸裂する。こんな使い方をすれば、多少船体にダメージを与えてしまうかもしれないが、そんなことに構っている場合ではない。さらにそこでRD-07をとらえるべく重力アンカーを射出して、RD-07を捕える。このまま、2番と4番アンカーを軸に回頭して1番、3番アンカーで前後からRD-07を押さえるつもりだったのだが、梓はそこで予想外の動きをした。
「当然、そう来るよね」
 普通なら、重力アンカーによる呪縛から逃れようと離脱を図るものだが、梓は逆にそのまま突っ込み綾乃の思惑を利用して、TA-27の後ろを取っていた。
「くっ、5番から8番アンカー射出!!」
 RD-07をはじき出すべく、重力アンカーを斥力場モードにして壁を作ろうとしたのだが。
「遅い!!」
 斬!!
 RD-07のソードアンカーが大上段から振り下ろされる。次の瞬間に綾乃が見たのは、コクピットを覆い尽くす真っ赤なアラートだった。

「やっぱり強いですね……、梓さん」
 アラートが消えると、綾乃は梓に声をかけた。
「いやいや、RD-07は綾乃先輩を封じることだけを考えて作られてるようなものだから」
「それでも、勝ちは勝ちですよ。私たちはいつなんどき、どんな相手でも戦わないといけないときがあるんですから」
 ……ちょっと、現代日本でそんな状況が早々あるとは思えないが、まぁ綾乃らしいと言えば綾乃らしい。
「では、私は離脱しておきます。もうこっちでは無理でしょうけど、また手合せとか稽古とかしましょう」
 そう言うと、綾乃はTA-27を離脱させ、梓はチームメイトの加勢に向かっていった。


 つづく。

  第五話第七話


RD-07についてちょっと。
まぁ、綾乃の対抗艦ということで、格闘ときたら剣術しかないだろうということで
そこ自体はすんなり決まったんですが、ソードアンカーの設定を考えている段階で
「TA-27ほぼ完封じゃね?」ってなことに。
実際、TA-27ができることというと、掴む・投げる・絞める・極めるぐらいですか?
打撃もできなくはないですけど、そこはクロウフィッシュが専門ですしねえ。
宇宙戦艦相手に、絞めたり極めたりが効果あるのか微妙ですし
かといって、引きちぎったりするほどのパワーはないんじゃないかなーと思います。
そうなると、他にぶつける物がない一対一のシチュエーションだと非常に微妙なんですよね。
重力アンカーで掴まれて動けないなんて状況に、普通のプレイヤーは慣れてないから有効なだけで
そこで冷静になって、インパルス砲撃ちまくられたりしたら、アウトなんじゃって気もしますし。
まして、今回ソードアンカーでインパルス砲完封
武道家同士の戦いで弾速の遅い次元転換魚雷は当たる気がしないと……。
まぁ、今回はエスタナトレーヒチームのパワーアップフラグも含むので勘弁してください。


カラーリングは、イタリアチーム繋がりでミナルディにしました。トロ・ロッソは複雑すぎる。
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