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二次創作SS ヨーコ(7) [二次創作SS]

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「攻撃が来る場所しか展開してないとはいえ、なんであんなにヴェイパーシールドが持つのよ!?」
 ヴェイパーシールドは、内側から観測も攻撃も加納で、全天を覆うことのできるバリアではあるが、排熱等の問題で長時間の使用はできない。しかし、RD-05は攻撃が来ないタイミングに自ら落として節約している以外は、常時使用していた。
「おそらく、ヴェイパーシールドジェネレーターを船体各部に分散して設置し、ローテーションで稼働させているものと思われます」
「なによそれ、こっちはあっという間にダウンしちゃうっていうのに!! このままじゃジリ貧じゃない」
 TA-25のインパルス砲は一発で停止させるほどの火力はないし、高速艦同士の高機動射撃戦で連続で何発も叩き込むというのも望み薄だ。おまけに、TA-25唯一の切り札バレルロールも正攻法では競り負けるのは自分から言ったことだ。先ほどは距離を詰めるために使ったが、あれは体当たりまでする気がなかったからだ。
「代わってあげよーか?」
 絶妙なタイミングで、離れて戦っている洋子から通信が入る。
「うるさいわね!!」
 流石にまだ、打つ手が無くなったわけではない。茶化されるのは心外と言うものだ。
「コーチ、真後ろからバレルロールなら何とかならない!?」
「相対速度が小さくなるため、大きく弾かれるようなことはありませんが、ヴェイパーシールドを停止させることが可能かどうかは現状では判断できません」
 やはり、RD-05がヴェイパーシールドをいくつに分割しているのかはわからないが、一度にできる限り多く使わせなければ、バレルロールを使おうがどうしようが、攻撃を通すことは出来そうになかった。 
「コーチ、次元転換魚雷をばらまいて機雷代わりにするわ。船体下部の発射管から射出して」
「了解」
 かなりの速度で飛びながらなので、広くばらまくことになってしまうが、RD-05の船体の広範囲に攻撃することが目的なのだから、むしろ好都合と言っていいだろう。
「全弾散布完了」
「それじゃ、追い込むわよ!! コーチ、ブーストを!!」

「ヴェイパーシールドを分割して、個別に展開ですか……。まぁ、間違いなく有効ですけど地味ですね」
「そんな派手だったりセンセーショナルだったりは、エスタナトレーヒのカーティス・ローソンに任せておけばいいんです。独創性で、あの人に勝てる同業者はそうはいませんよ」
 ランカスターは自嘲気味に言ってみせるが、なにか含みのようなものを感じる。まぁ、実際ランカスターは地道にやっていくタイプではあるが、和葉には独創性でもそこまでカーティス・ローソンに劣っているとは思えなかった。

「板野サーカスは出来なくても、ハイマットフルバーストなら!!」
 まどかは、高速戦闘の経験はそんなに多くない。バラマンディは高速艦だが、それを自由に振り回せるプレイヤーに巡り合ったことはないし、ならエース級のプレイヤーはと言っても、フーリガーは洋子に突っかかっていくし、エリュトロンも紅葉とじゃれあってることがほとんどで、まどか自身もルブルムの相手で忙しい、必然的に機会がなかったわけだ。
「RD-05、衝突コース上に乗っています」
「よしっ、このまま追撃するわ!!」
 ヴェイパーシールドさえ抜ければ、後ろを取っているまどかの方が圧倒的に有利である。いつもと違い、ゆっくりとしか縮まらない距離に焦れながらも、訪れる衝突の瞬間を集中して見極めようとしていた時だった。

「TA-25、予測通り追撃を開始しました」
 RD-05のサポートAI、『虎哲』がそう報告してくる。RD-05の火力ならば、TA-25のヴェイパーシールドをダウンさせ撃ち落とすことは不可能ではないのだが、RD-05の速力を初めて体感する可奈にとって、まだまどかを撃ち落すことは容易ではないので、こうしてまどかの策を逆に利用することにしたのである。
「うん、了解。それじゃこのまま進路維持、両舷スラスタースタンバイ、超信地旋回!!」

 まどかの思惑通り動いていたRD-05は、突然艦の向きだけをくるりと変えるとインパルス砲を発射した。
「ヴェイパーシールドを!!」
 避ければ、タイミングを逃すと判断したまどかはとっさに防御するが、当然その分稼働時間は減る。残り時間は、もう一度当たれば諦めて離脱するしかないところまで来ていた。
「くっ!!!!」
 進路を変えさせないための牽制をやめ、次を撃たせないために直撃させる。しかし、TA-25から放たれたプラズマスフィアは、RD-05の目前でむなしく停止した。

「RD-05にも積んでいるの!!?」
「落ち着いてください提督、便利な楯なんです、当然他の艦にも装備されていると考えるべきです」
 流石に、一度見たものであるためかローソンは落ち着いている。しかし、分割式のヴェイパーシールドという防御専用装備を積んでいるのに、さらに別のものを搭載する意味が分からなかった。
「まぁ、バレルロールのような攻撃を行うなら、敵艦へのアプローチ前にヴェイパーシールドへの直撃は出来るだけ避けたいか……」
 そう一人ごちるローソンに、クライフが口をはさむ。
「……いや、あれは攻撃のためだろう」
「ん? RD-07のように振り回せるわけでもないんだ、あまり攻撃に使えるとは……。……いや強襲戦艦、……そうか!!」
 ローソンも気づいたようでお互いに視線を合わせると、クライフは大きくうなずいた。
「ああ、衝角だ」

 受け止められたプラズマスフィアが収束し、艦首のヴェイパーシールドの先にプラズマ衝角を形成する。まずいと思ったその時、RD-05からの通信ウィンドウが開き、勝利を確信したプレイヤー杉崎可奈の声が聞こえた。
「逃がさない!! Fダクト全開放、フルブースト!!!」
 まどかも、なんとか回避を試みるが時既に遅く、RD-05は急制動をかけると次の瞬間には凄まじい加速でTA-25に肉薄していた。
「いっけえ!! ブルースライダー!!!」
 思わず目を瞑ったまどかが恐る恐る瞼を開くと、TA-25をかすめて飛び去ったRD-05と撃沈を示すアラートが映し出されていた。

「はぁ、何よあの加速性能。あんなの避けれるわけないじゃない」
 大回りして戻ってきたRD-05の可奈にまどかは話しかけた。
「あれは、この艦の各部姿勢制御用反動推進システムを、船体内部を貫くFダクトを通してすべて後方へ集めることで、爆発的な加速を得ることができるんですよ」
「Fダクト?」
「はい。初音さんが名付けたんですけどね、なんでもF1マシンの中に空気を流して、直線のスピードを速くするんだそうです」
 そういえば、ちょっと前に洋子がなんか熱く語ってたような気もする。
「そう……。そっちは分かったけどもう一つ。ブルースライダーの方は?」
「えっと、確か洋子先輩が好きなゲームにそんな技があるとか?」
 そういえば、それも語っていたような気がしなくもない。
「あんな猫娘なんかどうでもいいから。……そうね、TRANS-AMに……」
「特攻してるわけじゃないんですけど……。それに、私の艦は青系で結構あってると思うから、このままでいいんです」
 まどかは最終決戦で大量に出てきた特攻兵器を指して言ったわけではないが、まぁ、その名前で体当たりするとなれば、そっちを連想するのもわからない話ではないので、苦笑いして流すことにした。
「流石にそろそろどかないと邪魔かしらね」
「私もそろそろ行かないと。それじゃ先輩、またあとで会いましょう」
「ええ」
 通信を切って、離れていくRD-05を見つめるまどかの口から、珍しくため息が漏れた。
「はぁ。やっぱり、乗換やシステムの封印解除は必要よねえ……」


 つづく。

  第六話


なるべく、ただ負けはしないようにしてるつもりですが、正直難しいです。
気分悪い方もいるとは思いますが、もう少しご勘弁を。

というわけで、RD-05ですが
TA-25の火力が低いので、火力高めの突撃型と言うことでプラズマ衝角ということに。
もともとは、ガンダム試作1号機Fbのようなかんじの
フレキシブルブーストポッドでもつけようかと思っていたんですが
最近のF1のデバイスネタ入れたかったので、Fダクトにしました。
まぁあとは、TA-25の特徴であるヴェイパーシールドも何かしらということで
無駄な常時全天展開をやめたらこんなかんじに。元ネタは、言うまでもないかな。
ちなみにサポートAIは、『ジーンダイバー』より。
マイルドセブンルノーなのは、最近の青系カラーリングと言ったらこれかなと。

可奈の方は、よく考えると光とかぶってる気がして反省中なのですが
ノリよく行動的で、まどかに負けないオタクというかんじ。
創作もやるけど、お絵かきはできないので文章書きといったところ。
ああ、光と違ってまどかLoveは抜きですが。


しかし、機動射撃戦の描写って難しいなあ……。

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