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星瞬きし宇宙の海で 第一話 Dパート [星瞬きし宇宙の海で]

「副司令、まもなく海面ですがどうします?」
 首都3番惑星に降下してきた航宙戦艦のブリッジ、その艦載機管制用オペレーターシートに座る雪原琴希は、中央の艦長席に座る自分よりもだいぶ年下の少女に声をかけた。
「琴希、今は艦長だ・い・り」
「失礼しました。どうしますか、霧原美咲艦長代理」
 内心ではちょっとだけめんどくさいと思いながら、琴希は訂正して聞き返した。
「アリス、各部のチェックはどう?」
 艦長席の前、艦全体の統括制御を行うメインオペレーターシートにはこれまた非常に幼い少女が座っていた。
「通常のチェックは終了。現在は、各部のカメラで再確認中」
 どうやら、追加でより念入りなチェックまでやってくれているらしい。
「了解。じゃあ、それが終わるまでは高度150を維持」
「了解」
 アリスと呼ばれた少女は、必要な言葉だけを返すと作業を続ける。そちらは任せておけば大丈夫だろう。
「琴希、大丈夫? 疲れてない?」
「あ、そうですね……。流石にちょっと」
 琴希の表情を見る限り、それは少し我慢した言い方かもしれない。
「そっか……。何なら休んでても」
「いえ、大丈夫です。今回だけですし、通常航行なら問題ないですから」
「ならいいけど……」
 まぁもうすぐ着く目的地では、新たな乗員を拾うことになっている。そうなれば、今のこの艦全体で3人しかいないという極端な状態は解消されるから、どうにかなるだろう。とはいえ、せめていま少しでも何かと考えていると、アリスから報告が入る。
「チェック完了」
「じゃあ着水して、水上航行で」
「了解」
 アリスが事務的にそう答えると同時に、艦はすっと高度を下げた。


 つづく。
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