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星瞬きし宇宙の海で 第一話 Sパート [星瞬きし宇宙の海で]

「初弾命中、戦果確認中も敵艦健在」
 重力子の放出を伴う歪曲場フィールドは、隠密性を重視するのであれば、切っておくのが定石ではある。だが、既に位置が明らかなこの状況に置いては、当然展開して行動しているはずで、そうであれば重力波砲で撃沈まで持っていくのはなかなか難しい。正確に言えば、朱雀型にしろ冷泉型にしろ、主砲はあくまでフィールドを持たない相手、つまり革新戦役と同じような状況を想定しての装備である。それを想定したより高出力で大型の重力波砲も艦首に装備されてはいる。普通は。
「高度を上げて機動兵器隊を出します。両舷全速。主砲は照準そのまま、各砲10秒間隔で連続射撃、牽制続けてください」
「了解」
 慣性制御は行われているが、それでも軽いGを感じるほどに、夕霧は一気に加速を始めた。

「どこの艦だ!!」
「数時間前に降下した7艦隊のテスト艦のようです。YS-701夕霧」
 当然、事前に出来る限りの情報を収集し、なるべく邪魔が入らないタイミングを狙って行動を起こしているわけで、それによれば夕霧も降下後は当面重力下でのテストを行うことになっていたはずだ。
「よほど勘のいい奴でもいると言うのか?」
 しかし、そんなことを言っていても始まらない。任務を遂行のためには、早々に排除すべき相手だ。
「先行部隊を掩護する、全艦主砲照準」
 艦首大型重力波砲は、月読を狙っているため使えないが、相手は一隻。主砲でも、一点集中でフィールドを抜くことはできるはずだ。しかし。
「敵艦、増速!!」
 撃つよりも先に、夕霧は動き出した。


 つづく。
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