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星瞬きし空の下で 第二話 Aパート [星瞬きし空の下で]

第二話 わかり……ました


「上はなんて言ってきたの?」
 誠也の立場を確保するためには、上へ報告せざるを得ず、どういう判断が下されるか、気が気でない日々を白樺家は過ごしていた。
「ああ、とりあえずこのまま様子見しろとのことだ」
「そっか、よかった」
 桜はほっと胸をなでおろし、組合から送られてきた書簡に目を通す。記憶が戻った際に元の世界へと戻って行かないような環境づくりを、と書かれているところを見ると誠也の出自に関しては上も同意見らしい。とりあえず、本部に連れてこいと言われなかったことは幸いだった。恩も返さないうちに連れて行かれたのでは、引き止めた意味がない。
「まぁ、上も例の作戦が迫っているし、今はこんなことに構ってる暇はないんだろうな」
 どこぞで、大規模霊的災厄を起こそうとしている組織の拠点が発見されたとかで、攻略作戦が予定されている。その作戦には隆之と奏も参加が予定されていた。
「それもそうか。……ん、あれ? もしかして、当分誠也と二人っきり!?」
 この機会に組合はその組織を一網打尽にしたいらしく、末端の掃討まで含めるとかなり長期になる。何かあるとは思えないが、流石に二人きりはいろいろとまずいわけで……。
「そんなわけないだろう。そもそも、一人で監視なんかできるわけがない」
 確かにそうなのだが、監視役が別に来てくれるとしても、それは離れて見守るものだろうから二人きりなのは変わらない気がした。桜が訝しげな表情をしているのを尻目に隆之は更に続けた。
「まぁ、すぐに分かる。約束の時間はそろそろだからな」
「約束?」
 そういうのと時を同じくして、玄関のチャイムが鳴った。
「開いてますから、どうぞ」
 隆之は玄関に向かってそう声をかける。するとドアの向こうから、桜もよく知った顔が現れた。


 つづく。
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