星瞬きし空の下で 第三話 Cパート [星瞬きし空の下で]
四人は一気に駆け上がり屋上の扉を開く。しかし、開けた先では四人を追わなかった三人がすでに弁当を広げていた。げんなりする桜に慎吾は満足そうに言った。
「まだまだ甘いな、読み易すぎるぞ白樺」
悔しいが、実際目の前に三人がいるのだから言い返せる訳もない。
「もういいよ、ゆっくり昼休み過ごせればいいんだし……」
そう言いながら、桜は三人の所へ歩いていき、二人のやりとりがよくわかってない三人もそれに続いた。
包みを開くと、本当においしそうな料理が並んでいる。誠也は、その一つを選び口へと運ぶ。その感想はただただ。
「旨いな、桜」
「ありがとう、誠也」
今日の料理当番は桜、四人分の弁当も全て桜の手作り。この学園に限らず、どこでも行なわれている和やかな会話……だったのだが、今のこの状況では失言だったと言えるかもしれない。
「ちょっとまって、今日来たばかりの編入生たちと桜が、さも当たり前のように一緒に行動してるだけでも不自然なのに、いきなり下の名前で、それも呼び捨てなの」
安心したせいで、口がすべってしまったらしい。
「え、ええと。その……」
かなり言い訳しづらい状況に、桜は答えに詰まってしまう。
「しかも、弁当を作ってやる仲というわけか」
慎吾は、一人ニヤつきながらこの状況を楽しんでいる。このままだと、クラスメイトたちにつかまったのと変わらなくなりそうだと思い、昨日必死に考えた設定でごまかすべく、椿が口を開いた。
「まあ、昔からよく遊んだりしましたからね」
なるほどと言うように、深耶と春香はうなずいているが、慎吾だけは表情を変えない。この話が設定だということを看破しているのかもしれないが、椿は無視することにした。
「私たち、親同士が昔から親交があったもので、今回この学園に通うことになったので、桜のところを頼ったわけです。なのに、こちらへ来たとたんあんなことになってしまって」
これで、そう思った。だが……。
「はあ、でもみなさんが寮に入られた様子は無いですし、それはつまり同棲中というわけですか?」
その思わぬところからの攻撃に、梓と椿の顔にぱっと朱が散り、黙り込んでしまう。それをフォローすべく、今度は誠也が口を開いた。
「まあ、状況的にはそうなるかもしれないけどな。もうこいつらとは兄妹みたいなものだしな」
そう言ったものの、三人の様子にはあまり変化が無い。そんな三人を見ていた慎吾は、誠也に耳打ちした。
「お前も鈍いな、幸せそうで結構なことじゃないか」
だが、返ってきた答えは、流石の慎吾でも予想できないものだった。
「そういうものなのか」
まあ、この場ではベストな答えだったのかもしれない。これ以上の追求は避わすことが出来たのだから。もっとも、これが後々響くことになろうとは、夢にも思わなかったのだが。
第三話・了
「まだまだ甘いな、読み易すぎるぞ白樺」
悔しいが、実際目の前に三人がいるのだから言い返せる訳もない。
「もういいよ、ゆっくり昼休み過ごせればいいんだし……」
そう言いながら、桜は三人の所へ歩いていき、二人のやりとりがよくわかってない三人もそれに続いた。
包みを開くと、本当においしそうな料理が並んでいる。誠也は、その一つを選び口へと運ぶ。その感想はただただ。
「旨いな、桜」
「ありがとう、誠也」
今日の料理当番は桜、四人分の弁当も全て桜の手作り。この学園に限らず、どこでも行なわれている和やかな会話……だったのだが、今のこの状況では失言だったと言えるかもしれない。
「ちょっとまって、今日来たばかりの編入生たちと桜が、さも当たり前のように一緒に行動してるだけでも不自然なのに、いきなり下の名前で、それも呼び捨てなの」
安心したせいで、口がすべってしまったらしい。
「え、ええと。その……」
かなり言い訳しづらい状況に、桜は答えに詰まってしまう。
「しかも、弁当を作ってやる仲というわけか」
慎吾は、一人ニヤつきながらこの状況を楽しんでいる。このままだと、クラスメイトたちにつかまったのと変わらなくなりそうだと思い、昨日必死に考えた設定でごまかすべく、椿が口を開いた。
「まあ、昔からよく遊んだりしましたからね」
なるほどと言うように、深耶と春香はうなずいているが、慎吾だけは表情を変えない。この話が設定だということを看破しているのかもしれないが、椿は無視することにした。
「私たち、親同士が昔から親交があったもので、今回この学園に通うことになったので、桜のところを頼ったわけです。なのに、こちらへ来たとたんあんなことになってしまって」
これで、そう思った。だが……。
「はあ、でもみなさんが寮に入られた様子は無いですし、それはつまり同棲中というわけですか?」
その思わぬところからの攻撃に、梓と椿の顔にぱっと朱が散り、黙り込んでしまう。それをフォローすべく、今度は誠也が口を開いた。
「まあ、状況的にはそうなるかもしれないけどな。もうこいつらとは兄妹みたいなものだしな」
そう言ったものの、三人の様子にはあまり変化が無い。そんな三人を見ていた慎吾は、誠也に耳打ちした。
「お前も鈍いな、幸せそうで結構なことじゃないか」
だが、返ってきた答えは、流石の慎吾でも予想できないものだった。
「そういうものなのか」
まあ、この場ではベストな答えだったのかもしれない。これ以上の追求は避わすことが出来たのだから。もっとも、これが後々響くことになろうとは、夢にも思わなかったのだが。
第三話・了
2011-07-04 08:47
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0