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二次創作 アトリエ(2) [二次創作SS]

ユーディーのアトリエって、ほかのと比べて結構異色ですよね。
ゲーム的に期間制限がないのが目立ちますけど
フラグが建つのが、女の子しかいなかったり
賢者の石は作れなかったりね。
管理人が、本格派アトリエはこれが初めてだったので
思い入れも強いのから、そう思うのかもしれませんけどね。

まぁ、異邦人だから最初から惚れてるキャラいないのは当然だけど
誰も、口説き落としに行ったりしないんだよなあ。
年長者二人はたぶん、妻子もちだからいいけどさ
コンラッドとか、遺跡深部までつっこんでいくユーディーは最適だと思うけどな。
ゲーム的には、一番役立たずなのであんまり深いイベント見たことないけど。
まぁ、このゲーム基本的に男キャラは女キャラの下位互換なんですけどね
独自性のある、年長者二人はまぁともかく。
物語のプロット的には、ずっとラステルと一緒でいちゃついてるんだろうなあ……。


そんなわけで、頼まれたとき用に練習を兼ねまして
本編第二回へ行きましょうか。
若干、ユーディーさんこんなに弱くないといわれそうですけどね。

「ねえ、私のところに来てくれたのは嬉しいけど、どうしてここに来たの?」
 隣にいるクリスタがそう訊いてくる。
「……」
 私には答えられなかった、それは非道く自分勝手で情けないものだったから。


 ラステルと想いを伝え合ったあの日から、私たちは今までお世話になった人たち挨拶して回った。挨拶もせずに帰るようなマネはできなかったし、この200年後の世界も私にとって大切なものとなっていたから。とはいえ、実際は私の覚悟を決めるための旅だといってよかったと思う。ここにきてからの生活は、あのまま何も起こっていなければ、とても体験できなかったような刺激的なものだった。だから、もう以前の生活を平穏に生きていける自信がなかったりする。もちろん、帰りたくない一番の理由はラステルだけど、それだけでもないわけで。正直なところ、帰りたい気持ちはそんなにはない、だけど私はもともとここにいるべき人間ではない、だから帰らなければならないんだ。そんな思いと闘いながら、この旅を一歩進むごとに、一日一日と過去へ遡っている気がしていた。

「いよいよ、明日だね」
 ラステルが悲しみを湛えた瞳で私を見つめていた。
「うん」
 私は、なるべくラステルの顔を見ないようにしながら椅子に腰掛ける。泣いてしまうのが怖かったから、泣いてるのを見てしまうかもしれないのが怖かったから。でも見ないわけにはいかないから、元気が少しでも出るように、努めて明るく振舞う。
「ヴィトスとアデルベルトにパメラは来てくれるって。私、ここに来てから迷惑しかかけてないのに、こんなにしてくれるなんて嬉しいよね」
「そんなことないよ、ユーディーは私にいろんなものを見せてくれたもの!!」
 そういいながら、ラステルは私のところへ来てすがりつく。その瞳の端には光るものがあった。
「私は、ユーディーにいっぱいいっぱい感謝してる!! ……だからそんな寂しいこといわないで」
「うん。……ごめん、ラステル」
 私は、自分の瞳の端にも熱いものを感じた。それを見られたくなかった、きっと覚悟が揺らいでしまう。だから私は、ラステルを引き寄せた。

 メッテルブルグのはずれ人気のない森に、見送りのみんなが揃ったところで、私は最後にと皆の方へと向き直っていった。
「皆ありがとう。皆が協力してくれたから、こうして帰れるようになりました。私は絶対にこの刻を忘れないから、皆も元気で」
 また、涙が出そうになるのをこらえて来てくれた皆と握手して、そして私は背を向けて竜の砂時計を掲げた。
 ……。
 ……。
 ……。
 ……何もおきない。過去へと作用する竜の砂時計なんて作ったのは初めてだから。正確にどういうことがおきるのかはわからない。とはいえ、作り方から起動方法まで熟知したアイテムである。従来の使い方で、まさか何もおきないということはありえない。
 ……。
 ……。
 ……。
 もう一度起動手順を踏んでみるものの、やはり何も起こらない。『失敗』の二文字が頭をよぎる。いや、ここまでやって何もおきないということは、失敗以外にはありえない。最後だからと集まってくれた皆に、失敗したという勇気は私にはなかった……。


 こうして、私はあのとき皆やラステルから逃げてしまった。逃げる場所として、このアルテノルトを選んだのは、治安のあまりよくないこの街ならば、少なくともラステルが一人やってくることはないだろうというのがあったからだ。
「まぁ、私はこうしてもう一度会えたから、むしろ嬉しいけどね」
 そう言って、クリスタは部屋から出て行く。その言葉は私に、新しい光をくれた気がしていた。


 つづく。
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