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二次創作SS ヨーコ(5) [二次創作SS]

>YOHKO
「アソビン教授、状況は?」
「現在、曳航船にて出撃中。完了次第、オートで所定の位置へ移動します」
「OK、任せたわ」
 パドックから引き出されたマシンは、グリッドに向かう。だけど、そこはサーキットじゃなくてシルフィウムから1光秒ほど離れた演習場だ。まぁ、単純にインパルス砲のプラズマスフィアが届かない距離まで離れたってだけなんだけどね。
「ねえ、向こうのパドック艦拡大して」
「了解しました」
 すぐに、相手のパドック艦リヴァードールの映像が表示された。そこには当然、同じように出撃中のRD-0系列艦4隻の姿がある。大型のサイドポンツーン状の艦載機デッキを持つのがRD-03、綾乃と同じ多数のアンカーが見えるのがRD-07、あたしと同じ大型の要塞砲を積んでるのがRD-09で、ちょっと見た目がシャープなぐらいであまり特徴がないのがたぶんRD-05。気になるカラーリングはRD-03が白地に紺の配色で、F1で言うならBMWザウバー。RD-05は水色と黄色で構成されたマイルドセブンルノー。RD-07は白と黒そして緑、ラストイヤー開幕時のミナルディ。そして、RD-09は日の丸的な配色とデザインのラッキーストライクホンダ。
「うーん、なかなかいいセンスしてるわ」
 まだまだほんの数年なんだけど、タバコ広告のマシンはすごく懐かしい感じがする。まぁ、紅葉のTA-23もJPSロータスで、タバコ広告のマシンなんだけどさ。……なんて感傷に浸っているあたしのところに、無粋にもローソンが通信を入れてくる。
「ブリーフィングの時間がなかったから、伝えることだけ伝えるぞ。そのままで聞いてくれ」
「……はいはい」
 時間がなかったのは、ローソンが資料を読みふけっていたせいだと思うんだけど。まぁその辺は今更なので、もうつっこまないことにする。
「とりあえずみんな、自分の艦と対応する相手と当ってくれ。できる限り詳細なデータを取りたいんだ」
「「え?」」
「もとより、そのつもりですので問題ありません」
「私もいいわよ」
 まどかと綾乃が問題ないと返す中で、あたしと紅葉はお互いを見合わせる。ローソンが言いたいことは分かるけど、あたしとしては宣戦布告してきた初音とやりあうつもりマンマンだったし、紅葉も時雨と戦うつもりだったんだと思う。その反応に、珍しくローソンも察したらしい。
「さっきの話から気持ちはわかるけど、まずはそうしてくれないか?」
 まぁ、分析はローソンが主役だから、主役の望むデータを引き出すのがあたしたちの仕事と言われたらそうだからね。
「わかったけど、できる限りよ? 向こうが同じように動いてくれるかわからないし」
「そのときは、……諦めるしかないな」
 ローソンは頭をかいて、件の資料を見ながら話始めた。
「データを見たから分かってると思うけど、RD-0系列艦は2000m級でTA-2系列艦よりも大きい。まぁ、サイズが大きくなるということは、被弾が増えるとかのデメリットもあるから一概に大きければ強いってことはないけど、RD-03だけは注意してくれ」
「なんでや?」
「空母だけは、大きいということがニアリィイコールで搭載機の多さに繋がるからね」
 確かに、TA-23の300機という搭載数は、空母型の中でも決して多い方じゃない。そりゃ、見境なしに搭載数を増やしたって、一人で操作しないといけないんだから扱いきれないのは分かるけど。
「オプションが多いに越したことはないわね」
「ファンネルも多い方がいいに決まってるわよねー」
 最近、ガンダムのVSシリーズのせいで、まどかのがちょっとわかるようになってきたのが悔しいのよね……。あのシリーズも面白いからいいんだけどね。
「まどかくん、RD-05にバレルロールはやめておいた方がいい」
「はいはい、重量差で押し負けるんでしょ? そのぐらいは考えてるわ」
「そうかい? ならいいんだけど」
 まどかは分かってるって言ったけど、たぶんやるしかないんじゃないかなと思う。正直、あれないと決定打がまるでないもんね。
「綾乃くん、RD-07は“剣術”戦艦というくらいだから、当然剣を使ってくるんだろうけど、僕には持続発射モードと備えた重力アンカーを振り回すくらいしか思いつかない。だから、射程にも注意してくれ」
「ライザーソードってわけね!? 赤くなって三倍になったりしない?」
「いやそれはどうだろう……」
「梓さんの剣は、どちらかというと瞬間的に間合を侵略する剣ですが……。そうですね、やはり人の身と同じように振る舞うにも限界はありますから、参考にします」
 相変わらず茶化すまどかに、真面目に返す綾乃。でもホント、どうやって剣を用意するのかは興味あるけど、ローソンが言うようにワインダーさせてそれで剣っていうのはお粗末な感じがするわよねえ。
「で、洋子くんなんだけど……」
「なによ?」
「いや、RD-09だけはなにもわからないんだ」
 まさかの答えに、ずっこけそうになったけど流石にそれは抑えた。
「なんなのよそれは!?」
「そうは言うけど、“要撃”ってカテゴリから多少防御よりかもしれないってくらいで、他になにも思いつかないんだよ。打撃戦艦の系統は、地道にカタログスペックを底上げするのがもっとも効果的だし」
 それはそうかもしれないけど、要はオーソドックスでつまんないってことのように聞こえるわけで。
「まぁあれよ、強化系には必殺技はいらないってあれよ」
「洋子ちゃんやったら、別に情報なくても余裕やて」
「そうですよ、相手のことがわからないなんていつものことじゃないですか」
 三人のフォローはありがたいけど、どうせならこんな時ぐらい、わけわかんないことをしてくる奴と戦ってみたいと思ってしまう。
「こうなったら、さくっと倒して他に行くしかないわ!!」
「せや、その意気や」
 そんなコントをやっていたら、今度はアソビン教授が遠慮がちに(?) 報告してくる。
「定刻です。これよりテストマッチを開始します」
「了解、いくわよ!!」
 あたしの檄に三人がそれぞれうなずく。そして。 
「スーパーストライクTA-29ヤマモト・ヨーコ、ゲットレディ、GO!!」
「スーパースプリントTA-25ミドー・マドカ、行きまーす!!」
「スーパーストラグルTA-27ハクホーイン・アヤノ・エリザベス、いざ、参る!!」
「スーパーストームTA-23カガリヤ・モミジ、アクション!!」


 つづく。

  第四話第六話
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