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星瞬きし宇宙の海で 第六話 Jパート [星瞬きし宇宙の海で]

 フォーレル家で厳しく躾けられたフィールラインは、普段なら心ここにあらずな姿を見せることはない。しかし、今はそれを見せている。なぜなら、今回の航海の目的である霧原結河のことが、頭から離れなくなっているからだ。
 ここのところフィールラインは、自身の自由になる時間の大半を、彼女の資料を見つめて過ごしている。流石に彼女を人質にすることが、第7艦隊全体に向けてのカードであることは理解している。だが、肉親である霧原誠也に対して最も威力を発揮するのは間違いない。それは転じて、自分が期待されていないに繋がると思い込んでいる。つまり、身内に対する怒りだ。しかし、ただ資料を読み込むだけでなく、在学中の誠也の話を思い返すと、怒りの対象はだんだんと誠也に向かっていた。
 もちろん、フィールラインの性格からして、同級生の会話に積極的に交じるなどということはしていない。誠也に対するコンプレックスもあるのだから猶の事だが、何度か“妹”という単語は聞こえた覚えがあるし、その時の誠也の声色は明るかったように思う。そのことに対して、なにか怒りを覚えるのだ。


 つづく。
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