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星瞬きし宇宙の海で 第六話 Dパート [星瞬きし宇宙の海で]

「お帰りでしたか」
 フィールラインが艦に戻り、継世と別れたところで今度は晴山とすれ違う。出迎えに来たというわけではなく、既に始まっている出港準備を行うために、格納庫へ向かっていたというところだろう。だが、折角なのだから、お前も読んでおけと貰った資料を手渡した。
「霧原結河……、学校法人所有のステーションに向かうというのが分かりませんでしたが、そういうことですか」
 もちろん、事を起こしたあとなのだから、手を出せる人間が限られるのは分かる。しかし、フィールラインに因縁があるとはいえ、所詮は一パイロットの親族。既にこの男を押し付けられている自分にとって、更なる厄介ごとを抱え込みそうな気がしてならない。
「ああ、話が早くて助かる。これから格納庫か?」
 はいと答えようとして、それを端末からの呼び出し音が遮った。
「すみません、先に行っててください」
 フィールラインはうなずくと、格納庫へ向かうため通路の先を曲がって消える。それを見届けてから、来た道を戻って、エレベーターで上へと向かった。


 つづく。
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